- なす
- I
なす(接尾)(1)名詞に付いて, …のような, …に似ているの意を表し, 連体修飾語として用いられる。
「緑~黒髪」「山~仕事」
(2)〔上代語〕体言, ときには動詞の連体形に付いて, …のように, …のような, の意を表す。II「またま~二つの石を/万葉 813」「国わかく, 浮きし脂の如くして, くらげ~ただよへる時/古事記(上)」
なす【成す・為す】(1)あるまとまったものを作り上げる。 築き上げる。 《成》「一代で財を~・す」(2)(「…をなす」の形で)そういう形・状態をつくる。 《成》「カラスが群れを~・している」「返品が山を~・す」「文章の体を~・していない」(3)別の物・状態に変える。「荒野を変じて沃野(ヨクヤ)と~・す」
(4)ある行為をする。 主に慣用句的なかたい言い回しの中で使われる。 《為》「人力の~・し得るところではない」「相手の~・すがままにまかせる」「すること~・すこと」(5)動詞の連用形の下に付いて, 補助動詞のように用いる。 特に心がけてある動作をする意を表す。 意識して…する。「いと心ことによしありて同じ木草をも植ゑ~・し給へり/源氏(若紫)」「心細く住み~・したる庵あり/徒然 11」
〔「なる」に対する他動詞〕︱慣用︱ 市を~・色を~・恐れを~・重きを~・名を~為す有・る〔「有為(ユウイ)」の訓読み〕才能があり, りっぱな仕事ができる。「~・る者たらんことを欲す」
為す術(スベ)もな・いどのようにしたらよいか, 手段・方法がない。「あまりの強さに~・く破れた」
為せば成るやればできる。IIIなす【済す】(1)支払うべきものを支払う。「舟賃~・して越し給へ/義経記 7」
(2)借りたものを返す。「先の世に借りたを~・すか今貸すか/滑稽本・膝栗毛(初)」
済す時の閻魔顔(エンマガオ)金品を借りるときはにこにこしているが, 返すときには不機嫌な顔つきをするものだということ。IVなす【生す】〔「なす(成・為)」と同源〕子を産む。V「子まで~・した仲」「~・さぬ仲」
なす【茄子・茄】(1)ナス科の一年草。 熱帯では多年草。 インド原産。 古くから栽培され, 高さは約80センチメートル。 葉は卵形。 夏から秋にかけ, 淡紫色の花を開く。 果実は倒卵形・球形・長形などで, 果皮の色は普通暗紫色。 なすび。 ﹝季﹞夏。(2)茶入れの一。 丸形で下のほうがややふくらんだ形のもの。 唐物(カラモノ)に由来し, 茶道ではこの手を最上位とする。VIなす【那須】(1)栃木県北東部, 那珂川上流一帯の総称。 古代に那須国があり, 国造(クニノミヤツコ)が置かれていた。(2)栃木県北東部, 那須郡の町。 那須岳南東の那須高原を占め, 観光・酪農が盛ん。VIIなす【那須】姓氏の一。
Japanese explanatory dictionaries. 2013.